グループクロストーク Vol.02 Metal X UP®で業界課題の解決に挑む グループクロストーク Vol.02 Metal X UP®で業界課題の解決に挑む

鉄鋼流通における煩雑な業務の
効率化・高度化を目指して
2022年4月にサービスを開始した
「Metal X UP」。
その開発に関わったメンバーと
それを利用するグループ会社の担当者に、
改めてその利便性や今後の展開について
話していただきました。

メタルワングループの
新しい価値を提供するツール

Metal X UPは、どのような経緯で
誕生したのでしょうか?

(株)メタルワン 鋼管BU総括マネージャー 榎本俊一さんが語る様子

榎 本

元々は業態変革を推進するQOLABOの取り組みの一環として、顧客や業界の課題についてヒアリングを進めていた中で、旧態依然とした鉄鋼業界の商慣習の抱える課題を解決できないかと考えたのがきっかけでした。数年前に玉造が彼らのユーザーページ(現・ユーザーページplus)をメタルワンの開発基盤の中でつくっていて、そのコンセプトを活用できないかと始まったのがMetal X UPのプロジェクトでした。ミルシート管理の煩雑さだけでも相当な負担になっていることも見えてきました。それを電子化し、さらに受発注や注文履歴の確認も同じシステムの中で統一できれば素晴らしいものになると試行錯誤しながら、現在のユーザーページの原型が形づくられていきました。
(株)メタルワン 鋼管BU総括マネージャー 榎本俊一さんが語る様子
(株)メタルワン DX戦略室 ソリューション事業課兼AI・デジタル企画課 川田直人さんが語る様子

川 田

私はシステム開発をメインに関わりましたが、そのきっかけは2017年のロボットコンテストでの優勝でした。優勝の特典でシリコンバレーに行ったのですが、その時のメンバーと工程進捗業務のデジタル化に取り組みました。そこで経験した、プログラミング言語のコードを最小限に抑えたローコードツールでシステムを開発し、ユーザーのフィードバックを基に改善していく手法が、Metal X UPの開発に役立ちました。現在は、ロゴマークの作成をはじめとする普及活動も含めプロジェクト全体を主導する立場です。Metal X UPをメタルワングループが顧客に対して新しい価値を提供し、課題を引き出すためのツールにしたいと思っています。
(株)メタルワン DX戦略室 ソリューション事業課兼AI・デジタル企画課 川田直人さんが語る様子

グループ会社の皆さんはMetal X UPを
どのように活用されていますか?

田 中

住商メタルワン鋼管では、あるお客様をファーストユーザーとして2024年4月から利用を開始しています。長くお付き合いする中で強固な関係性と商売の基本線ができ上がっているお客様をパートナーとして、在庫確認や受発注、出荷、ミルシートの確認、過去の取引履歴も見ることができる機能を使っていただいています。こうした基本的な機能以外のオプションを拡充させ、われわれが扱う品種の多さや加工にどう対応させていくかが、今後のポイントだと思っています。
(株)メタルワン特殊鋼 厚板部 大阪厚板課長 真鍋亮一さんが語る様子

真 鍋

メタルワン特殊鋼では、まだ一部の部署に限られた利用ですが、スモールスタートで効果を検証しているところです。私の課は伝統的な店売りの問屋業務で、お客様には二次問屋も多く、複数商流がつながって最終的な需要家も見えづらい業態です。多品種・小ロットで突発的な注文も多いため、コミュニケーションの頻度が高く、手間も膨大にかかります。その改善の手段となったのがMetal X UPです。現在はミルシートや納品書の提出、顧客ごとの取引履歴などの機能を活用しており、今後、さらに利便性を高める機能の開発を進めていこうと考えています。
(株)メタルワン特殊鋼 厚板部 大阪厚板課長 真鍋亮一さんが語る様子

奥 野

サステックでは、デジタルを活用した社内の業務改善やBPR(業務改革)活動として、社内の帳票や与信などのワークフローを電子化する取り組みを独自に進めていました。一方で、お客様とも直接つながるツールの必要性を感じながらもなかなか実現できていませんでした。そのようなタイミングで、2023年にメタルワンさんからMetal X UPの話を伺い、2024年1月から利用を開始しました。まず社内でミルシートをデジタル管理する機能の利用を始め、12月には機能をカスタマイズし、注文履歴の機能を追加してお客様向けにリリースしました。

“常にバージョンアップしていく”
プラットフォームに​

Metal X UPの利便性を感じる部分や
お客様の反応について教えてください。

真 鍋

日次単位で取引履歴と商品の最新情報が更新され、ミルシートのデータベースとも紐づいています。導入前と比較するとお客様のリードタイムは大幅に短縮され、非常に喜ばれています。また、物流に必要な納品書や荷渡依頼書など基幹システムで出力されない帳票類を作る際に発注履歴からデータを書き出せる点もお客様の事務作業を大幅に削減する効果があります。社内の例では、ミルシートのデジタル管理が実現したことで、ある拠点で持っている在庫を別の拠点で販売することも可能になりました。これまでのようにミルシート管理に専任の担当者を据える必要もなくなりましたし、業務の構成や役割分担を簡略化できたことは大きな成果だと思います。
(株)サステック 業務改革統括室 営業業務デジタル化プロジェクトリーダー 奥野貴志さんが語る様子

奥 野

ミルシートのアップロードに必要な作業は複合機でのスキャンのみで、さらにメタルワンさんから購入した鋼材はメタルワンさん側でスキャンしてもらえるため、社内の業務は大幅に削減されました。社内間利用の段階で、普段は辛口の事務職の方にも非常に評判が良く、「お客様も直接利用可能にする予定です」と伝えると「絶対に喜ばれるからすぐに実現してほしい」と言われました(笑)。利用したお客様からも、注文履歴からミルシートを取り出せる点や納入日に一括してミルシートをダウンロードできる点など「かゆいところに手が届くシステム」という評価をいただきました。リリース前は不安もありましたが、画面構成のわかりやすさや操作が簡単な面も喜ばれています。
(株)サステック 業務改革統括室 営業業務デジタル化プロジェクトリーダー 奥野貴志さんが語る様子

田 中

従来と比較すると、一つのツールで紙の削減と同時に手順を大幅に削減できたのは大きな効果です。もう一つの大きなメリットは、入力ミスが減ること。お客様が入力したものがダイレクトにわれわれの基幹システムに反映されます。これまでは、メールやFAXで受けた注文を基幹システムに手作業で入力し、そこでミスが発生する可能性もありました。手間と時間を削減してミスも減る。その結果、余裕を持った業務ができるというのは、双方にとって非常に大きなメリットだと思いますね。

榎 本

開発の時点から、お客様の視点を持ち続けるべきだと考えていました。もちろん自社の業務の削減は素晴らしいことですが、いかにお客様が楽になって、それを評価していただけるかが重要です。一方で、次はどんな困り事を解決できたらサービスとしてもっと評価していただけるのかをヒアリングをし続けることも大事です。お客様の業務課題にアプローチするツールを持つことができたことが、Metal X UPのもっとも大きな成果だと思っています。

川 田

お客様にとっては、Metal X UPを無料で使えるというのも導入しやすい部分だと思いますし、今後はより機能を充実させて、多くの課題解決につなげ、鉄鋼流通業界をリードしていきたいですね。

Metal X UPを今後、どのように
普及・成長させたいですか?

奥 野

弊社のデジタル構想においてMetal X UPは「お客様とつながるインターフェース」という位置付けです。お客様が求めるあらゆる情報が紐づいて、受発注のみならず仕入れや加工、配送まで融合したシステムを目指しています。その大きなシステムの中で、お客様との接点がMetal X UPになると考えています。

真 鍋

受発注の双方向のコミュニケーションをMetal X UPに落とし込んで業務効率化につなげる。その後は、サプライヤーを含めて在庫品以外の取次商売にも活用できるような体制にしたいと思っています。さらには仕入れ先までつなげた形にして、素材から加工品まで何でも取り揃う、そういうプラットフォームを目指しています。メタルワン特殊鋼としては、そういった私たちが思い描く姿にいち早く近づけたいと思っています。
住商メタルワン鋼管(株) 鋼管営業本部 東日本鋼管営業第一部 鋼管営業第三チームリーダー 田中祐輔さんが語る様子

田 中

住商メタルワン鋼管の鋼管営業本部では、東日本・西日本それぞれにアンバサダーを設置しています。東西2名のアンバサダーを中心に利用者拡大のための施策を推進しています。現在、われわれが使用している機能は基礎的な取引に限られていますが、わが社のビジネスはもっと複雑です。多くのお客様とは、基本的な鋼材取引に加工や配管資材などプラスアルファもあれば応用もあります。われわれが会社として持つ機能をこのMetal X UPにどれだけ搭載できるかが、これからの課題だと思います。
住商メタルワン鋼管(株) 鋼管営業本部 東日本鋼管営業第一部 鋼管営業第三チームリーダー 田中祐輔さんが語る様子

川 田

お客様の多くが抱えている、共通の課題をカバーできるような機能のラインナップを一通り揃えたいと思っています。課題はいくらでも出てくると思います。Metal X UPは”常にバージョンアップしていくプラットフォーム”を目指していく考えです。現状でも品種は問いませんし、いずれは世界中で使える機能を持ったシステムにしたいですね。

鉄鋼業界全体に貢献できる
ツールに発展させたい

Metal X UPを通じたメタルワングループの
連携についてどう思いますか?

真 鍋

われわれが検討を始めた頃は、そこに参加する会社が少なかったこともあり、費用が最大のネックでした。こうした取り組みには莫大な費用がかかるということを痛感しました。しかし、多くのユーザーに共通するニーズや課題があったことやメタルワンさんがここまでリードしてくれたことでMetal X UPは実現しました。皆さんのお話をうかがっても、利用されているユーザーからも非常に喜ばれていますよね。これはメタルワングループだからできたことだと思います。

奥 野

本当にそうですね。まずグループで共通利用できる仕組みはとてもありがたと感じています。システムの普及を考えた時、今が最も大事な時期だと思います。メタルワングループはもちろん、グループ以外の利用者も増やしていくことでグループの価値をさらに高めることができるのではないでしょうか。メタルワングループの力があればそれも可能だと思います。

田 中

悩みどころは会社によって様々だと思いますが、課題の共通点はあると思います。それをうまく掬えればユーザーも増えていくはずですし、その分コストも下がります。その後の展開も広がっていくのではないでしょうか。

川 田

そうですね。私自身、Metal X UPの開発は業界課題を考える機会にもなりましたし、今後の取り組みにもつながると思っています。グループ会社の皆さんにも熱意と問題意識を持って取り組んでいただきました。こうした姿勢自体をグループ全体に浸透していくことが、メタルワングループをより強くしていくのだと思います。

榎 本

私は最初からMetal X UPをメタルワンだけに閉じたものにするつもりはありませんでしたし、ここがゴールでもありません。競合他社にもMetal X UPを使ってもらい、業界全体で協力しなければ解決できない商習慣や多くの課題を解決するためのツールに発展させたいと思っています。ただ、あくまでMetal X UPは一つの手段であり、重要なのはお客様や業界全体の課題にアプローチし、解決するための施策を実行することです。そのためにも、まずはメタルワングループとしてMetal X UPを通じたコミュニケーションの機会やマインドセットをつくることができれば、われわれの価値も上がり鉄鋼業界への貢献にもつながると思っています。

本日はありがとうございました。

スピーカー5名がにこやかに笑って談笑する様子

SPEAKER

  • (株)メタルワン鋼管BU総括マネージャー 榎本俊一さんの写真

    榎本俊一さん

    (株)メタルワン
    鋼管BU総括マネージャー

  • (株)メタルワン DX戦略室 ソリューション事業課兼AI・デジタル企画課 川田直人さんの写真

    川田直人さん

    (株)メタルワン
    DX戦略室 ソリューション事業課兼AI・デジタル企画課

  • (株)メタルワン特殊鋼 厚板部 大阪厚板課長 真鍋亮一さんの写真

    真鍋亮一さん

    (株)メタルワン特殊鋼
    厚板部 大阪厚板課長

  • (株)サステック 業務改革統括室 営業業務デジタル化プロジェクトリーダー 奥野貴志さんの写真

    奥野貴志さん

    (株)サステック
    業務改革統括室 営業業務デジタル化プロジェクトリーダー

  • 住商メタルワン鋼管(株) 鋼管営業本部 東日本鋼管営業第一部 鋼管営業第三チームリーダー 田中祐輔さんの写真

    田中祐輔さん

    住商メタルワン鋼管(株)
    鋼管営業本部 東日本鋼管営業第一部 鋼管営業第三チームリーダー