2020 METAL CULTURE 江東
メタルワングループ広報誌
Value One Autumn 2020 No.70より
現存する国産最古の鉄橋
東京・門前仲町。富岡八幡宮や深川不動尊など歴史ある寺社があり、下町情緒あふれる人気の観光スポットだ。
富岡八幡宮の隣にある八幡堀遊歩道に、歩行者専用の小さな赤い橋が架かっている。現存する国産最古の鉄橋であるはちまんばし「八幡橋」である。八幡橋は1878年(明治年)に東京府の依頼により、工部省の赤羽製作所で製作された。もともとは現在の中央区京橋付近にあった楓川に架かる「弾正橋」としてつくられたのだが、関東大震災後の再開発で現在地に移設され、「八幡橋」と改称された。長さ約15m、幅2mの小さな橋だが、鉄橋が珍しかった当時としては文明開化のシンボル的な存在だった。
鉄橋の歴史に詳しい橋梁大手・横河ブリッジの掘井滋則・大阪設計第二部長は 「鉄橋は適切にメンテナンスすることで100年以上も使用することができる。設計の自由度が高く、力強さや美しさなど多彩な表情を引き出せるのも鉄橋の魅力」と語る。
朝夕には近隣の小学生やサラリーマンが行き交う八幡橋。国産最古の鉄橋はこれからも地域の人々の暮らしを支え続けていくことだろう。