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Value One グループ広報誌
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Value One Spring 2014 No.44より
 

格調高い飾り金具

江戸時代前期に誕生したとされる箪笥。その後、庶民の生活水準の向上につれ全国で普及が進み、江戸末期には各地で製作されるようになった。現在、経済産業省の伝統的工芸品に指定されている箪笥の産地だけでも加茂(新潟)、春日部(埼玉)、松本、名古屋、大阪泉州、紀州(和歌山)など数多い。中でも岩手県奥州市の岩谷堂箪笥はその特徴である美しい図柄をあしらった箪笥金具で有名である。

岩谷堂箪笥の発祥は天明年間(1781〜89年)にさかのぼる。江戸時代最大と言われる「天明の大飢饉」により、仙台藩の北端にあった 岩谷堂いわやどう(現在の奥州市江刺区)でも多数の死者が出たという。そこで領主の岩城村将いわき むらまさ は米作だけに頼る経済から脱却するべく、箪笥や長持など木工家具の製作に着手したのが始まりとされる。

岩谷堂箪笥の最大の特徴はその豪華絢爛な金具にある。龍や獅子、牡丹、鶴、亀などのバラエティー豊かなデザインの飾り金具のほか、引手や角金具、蝶番、錠前など1棹の箪笥に約80個もの金具が取り付けられる。その豪華さは初代仙台藩主の伊達正宗の気風に由来するとも言われている。

金具には南部鉄器の技術を用いた鋳造製と職人による手打ち彫りの2種類があるが、今では大量生産が可能な鋳造製の金具が約9割を占める。伝統的技法である手打ち彫りの金具は、金槌と鏨を使って職人が鉄板や銅板に一つひとつ丹念に模様を彫っていく。まず金属板に描かれた下絵にそって鏨で細い線を彫り、次いで板を裏返して先の丸い金槌で打ちつける。この「打出し」と呼ばれる技法は、模様を立体的に表現するために編み出された岩谷堂箪笥の金具づくりの至芸である。打出しの微妙な加減によって出来栄えが決まる。例えば、龍や獅子をモチーフにした模様なら、今にも飛び出してきそうな躍動感を与え、その表情にまで魂を打ち込んでいく。その仕上がりの美しさは工芸品の域を超えた高い格調を備えている。

伝統工芸士の菊池廣志氏(彫金工芸菊広社長)はこの道30年以上の手打ち彫りの第一人者である。その菊池氏ですら「うまく彫れたと思っても、3日もすればあれこれと悔いが出てくる」とその技の奥深さを説く。職人は道具である鏨も鉄の丸棒を鍛造して自作し、その数は約200種にも及ぶ。一人の職人が1棹の箪笥のすべての金具を彫金するため、月に3棹程度しかつくることができない。このため手打ち彫り金具を備えた岩谷堂箪笥は全国のデパートでも高級家具として位置づけられている。

「私たちは日常生活で使っていただける箪笥をつくっているだけ」と話す菊池氏。しかし、一片の金属板に生命を吹き込むことで、家具としての箪笥に大きな輝きをもたらす。岩谷堂箪笥の真髄がそこにある。

江戸時代末期につくられた岩谷堂箪笥。
今も現役で使われている(彫金工芸菊広)




鏨で銅板に模様を打ち付ける




きめ細かい彫金には約200種もの鏨が必要となる




彫金工芸菊広では、若手の伝統工芸士も活躍している

■岩手県は南部鉄器や釜石製鉄所など古くから鉄産業の盛んな土地柄である。良質な鉄資源に恵まれたこともあり、出雲地方と並ぶ日本の鉄のルーツでもある。岩谷堂箪笥の金具も現在は南部鉄器の技術を用いた鋳造製のものが大半を占める。伝統的な手打ち彫りの金具を専業で製作しているのは彫金工芸菊広だけであり、菊池社長の弟子の若手2人も伝統工芸士の認定を受けている。日本伝統工芸士会の副会長も務める菊池社長は全国の伝統的工芸品の産地に共通する課題である後継者の育成や需要の掘り起こしなどに注力している。「中国など海外品との競争に負けて地盤沈下している産地も多いが、江戸時代から続くモノづくりの伝統はこれからも残していきたい」と伝産品の振興に奔走している。

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