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Value One グループ広報誌
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Value One Autumn 2015 No.50より
 

熱した鉄を叩く橋口さん。その動きを見つめる阿久根氏と鮫島さん(右)

薩摩半島の南西端に位置する南さつま市。この地で約450年の歴史を持つ加世田鍛冶は、戦国武将・島津忠良が郷士の内職として鍛冶を奨励したのが始まりとされる。家や船をつくるための角釘をつくり、江戸時代には「加世田釘」として、薩摩藩内はもちろん、肥後、種子島、屋久島、琉球まで販路を伸ばしていたという。明治時代になると、鎌や包丁などの生産が盛んになり、「加世田鎌」は種子島の鋏と並んで鹿児島県の名産品として広く知られるようになった。両刃で厚く、丈夫でよく切れるのが特徴だ。戦後の最盛期には年間10万本以上が生産され隆盛を極めたが、その後は需要の減少や後継者不足により、明治初期に約300人いたという鍛冶職人も、気がつくと阿久根 丈夫 ますらお 氏ただ1人となっていた。阿久根氏にも後継者はなく、いずれ自分が引退すれば加世田鍛冶の伝統は途切れると覚悟していた。

転機が訪れたのは1999年。旧加世田市の収入役だった鮫島健志さんがある会合で阿久根氏と出会い、加世田鍛冶の伝統が消滅することに強い危機感を覚えた。誰もいないなら、自分が弟子入りしたいと阿久根氏に志願した。だが、年齢のこともあり、初めはまったく相手にされなかったという。阿久根氏自身、学校を卒業するとすぐに家業である鍛冶の仕事に就き、以来、70年以上もこの道を極めてきた。「鉄は火の中に入れると生き物のように変化する。簡単に言葉で教えられるものではない」が持論だ。しかし、熱心に日参してくる鮫島さんに阿久根氏もついに折れ、「自前の工房を持てるなら」という条件付きで弟子入りを認めたのだ。

2001年、鮫島さんは自分の土地に「志耕庵」という工房を建て、鍛冶に必要な設備一式を譲り受けた。やがて「志耕庵」は“加世田鍛冶の学び舎”となり、若手から年配者までこれまで約20人が阿久根氏の指導を受けた。そんな中に、メーカーを定年退職した橋口範人さんがいた。入門して4ヶ月で阿久根氏に認められるほど筋が良かった。それもそのはず、橋口さんの祖父は加世田鍛冶の職人だったのである。鍛冶をするのは初めてだったが、生来のセンスに加え、鍛冶師の家系に生まれた橋口さんは年齢を感じさせない飲み込みの早さで阿久根氏から唯一、後継と認められた弟子として、日夜、志耕庵で腕を磨いている。

2009年には阿久根氏も引退。後継者と期待される橋口さんも現在65歳になる。伝統を残していくためにはさらに若い人材を必要とする。「地元の消防署の職員など若い人にも声をかけていきたい」と話す鮫島さん。そして「次の世代にバトンタッチしていくためにはまだまだ師匠から教わることがある」と橋口さん。辛うじてつながった加世田鍛冶の伝統の火は2人の情熱によって未来へとつなげられている。
師匠直伝の道具を使って刃を削る


橋口さんがつくった鎌と包丁。希望者には販売もしている


古い武家屋敷の残る一角にある「志耕庵」


南さつま市教育委員会が製作した加世田鍛冶のDVD

■日本の伝統的工芸品の産地に共通する課題として、後継者不在が挙げられる。その多くは江戸時代から続く地場産業でありながら、需要の減少や安価な輸入品の流入、それに地方の過疎化などと相まって、若手人材の不足は深刻化している。加世田鍛冶の「志耕庵」は発起人の鮫島さんを中心に「産業」として成り立ちにくくなっている伝統工芸品を「文化」として捉え、後世に伝えていこうとするユニークな取り組みである。南さつま市教育委員会も最後の加世田鍛冶の職人である阿久根丈夫氏の仕事を映像にしてDVDに収録。記録として伝統の技を残すとともに、若い世代が生きた教材としても活用できるよう12工程におよぶ細かな製作の様子を撮影している。

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