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Value One Spring 2018 No.60より
国内最古の鉄船である明治丸
鉄船時代の技術を伝える産業遺産
周囲に高層マンションが立ち並ぶ東京都江東区の東京海洋大学・越中島キャンパス。運河に面した構内の一角に、3本のマストを天高くそびえた長さ約68メートルの大型船が横たわっている。国内に現存する最古にして唯一の鉄船、明治丸である。140年に及ぶその航跡を振り返れば、日本が急速に近代化していく過程において、いくつかの重要な役割を果たしていたことがわかる。
明治丸は、明治政府の発注により1874年(明治7年)に英国の造船所で建造された、当時としては画期的な大型鉄船である。鉄船は木造船から現在の鋼船に移行するまでの19世紀後半のわずかな期間にピークを迎えた。その後は製鉄技術の発展により、鉄に炭素などを含ませて強度を増した鋼船が主流となる。現存する鉄船は明治丸以外では世界的にもほとんど例がなく、船舶として唯一、国の重要文化財に指定されている。
明治丸は灯台巡廻船として建造された。長い鎖国が続いた後の明治初めの日本に洋式灯台はほとんどなく、その建設に必要な測量や資材の運搬などの任務を担ったのが灯台巡廻船である。約20年間の灯台巡廻船の役割を終えた明治丸は1896年に商船学校(現在の東京海洋大)に譲渡され、以後、終戦で米軍に接収されるまでの約50年間を係留練習船として、5000人以上の若い船員を育てた。
主に灯台巡廻船、商船学校の練習船として活躍した明治丸だが、当時としては第一線の高速船であり、客船並みの豪華な仕様を備えていたため、ロイヤルシップとしての役目も兼ねた。そのクライマックスは1876年。明治天皇の東北巡幸の帰途、函館を出港した明治丸は7月20日、無事に横浜に帰港。その日は後に「海の記念日(現在の海の日)」に制定された。
さらに、1875年には英国との間で領有権問題が生じていた小笠原諸島に向けて、政府の調査団を乗せて出港。英国船より2日早く到達したことにより、小笠原諸島は日本の領土となった。日本が現在、世界6位の排他的経済水域を確保できているのは、明治丸のこの航海があったからである。
東京海洋大学の矢吹英雄名誉教授は「明治丸は、日本が海洋大国に発展していく礎を築いた。鉄船時代の造船技術を今に伝える貴重な産業遺産でもある。また商船学校の練習船としても日本の海事産業に関わる多数の人材を育てた功績は大きい」とその価値を高く評価する。
1901年に現在の越中島に係留された明治丸は多くの学生を育てるとともに、関東大震災や東京大空襲の際に被災者を収容するなど地域社会にも貢献してきた。2015年には2年に及んだ大規模修復工事が終了し、装いも新たにその美しい雄姿を見せた明治丸。日本の海事史を語る上で欠かすことのできない生き証人でもある。
明治天皇が乗船された御座所
商船学校の練習船としても活躍した(昭和11年)
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