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Value One グループ広報誌
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Value One Summer 2013 No.41より
 

等々力緑地内にたたずむトーマス転炉

川崎市の等々力緑地にある川崎市市民ミュージアム。その前庭に黒く光るロボットのような巨大な鋼鉄製のオブジェが天を仰いでいる。高さ約7.6メートル、重さ約60トンのトーマス転炉である。

高炉でつくられた銑鉄は炭素分が多く、硬くて脆い。これを粘りのある強靭な鋼にするためには酸素を吹き込んで炭素を減らし、さらに燐や硫黄、硅素などの不純物を除去しなければならない。その製鋼工程を行う設備が「転炉」だ。

転炉は1856年にイギリスのH・ベッセマーにより世界で初めて開発された。いわゆる「ベッセマー転炉」である。それ以前の製鋼法だった平炉に比べると、製鋼時間が大幅に短縮されたうえ、空気を送り込むことで発生する酸化熱が熱源になるという画期的な発明だった。ただ、ベッセマー転炉は炉壁の耐火煉瓦が珪石でできていたため不純物である燐の除去ができな かった。その欠点を解決したのがトーマス転炉である。

トーマス転炉は1879年にイギリス人のS・G・トーマスらによって発明された。塩基性耐火煉瓦を使用することで、酸化カルシウムと燐が反応してスラグ化し、脱燐を可能とした。このため 燐分の高い鉄鉱石が多かったドイツなどでトーマス転炉は急速に普及した。

日本に初めてトーマス転炉が導入されたのは、それから約60年後の1938年(昭和13年)のこと。その主導的役割を果たしたのが日本鋼管(現JFEスチール)の創設者の一人である今泉嘉一郎氏。今泉氏は農商務省の技師として官営八幡製鉄所の立ち上げに尽力し、勅任技師長まで務めたが、自らの手で日本初の民営製鉄所の建設を決意。1912年に白石元治郎氏とともに日本鋼管を川崎に設立した。日本で初めて継目無鋼管の製造を手がけたほか、1936年には念願の高炉を建設し、銑鋼一貫製鉄所を完成させた。


その当時、日本で主流の製鋼法は平炉だった。平炉は鉄スクラップの使用を前提としており、日本は米国などから鉄スクラップを輸入していた。しかし、満州事変を契機に原料不足が深刻化する中、今泉氏は鉄スクラップに依存しない高効率な製鋼法であるトーマス転炉に着目。日本鉄鋼協会などでその必要性を説いたものの、受け入れられず、結局、自ら創設した日本鋼管・川崎製鉄所での導入を決めた。

トーマス転炉は燐分の高い鉄鉱石を原料とした時にその威力を発揮するが、当時日本で流通していた鉄鉱石は燐分が少なかった。そこで今泉氏は高炉に燐鉱を加えて調整するという日本独自のトーマス製鋼法を開発。スラグ化した燐も農業用の肥料として活用した。日本鋼管では合計五基のトーマス転炉を導入、生産拡大の原動力となった。

今泉氏は日本鉄鋼業の近代史において数々の功績を残した。「平炉」や「転炉」という日本語も今泉氏が翻訳したといわれている。とりわけトーマス転炉を導入した強い信念と先見性は後に高く評価され、その技術も現在の純酸素上吹転炉(LD転炉)へと発展していくのである。


操業当時のトーマス転炉


明治末期から開発が始まった京浜工業地帯。現在も日本有数の出荷額を誇る


現在のJFEスチール・東日本製鉄所(京浜地区)の高炉



【川崎市市民ミュージアム】
神奈川県川崎市中原区等々力1-2
(等々力緑地内)
TEL:044-754-4500
開館時間:9:30〜17:00
休館日:月曜日(休日の場合は開館)、祝日の翌日(土・日の場合は開館)、年末年始
入場料:博物館展示室は無料

■日本の工業地帯の草分けである京浜工業地帯。横浜市から川崎市、東京都大田区にまたがるこのエリアで工業化が始まったのは明治時代末期。1910年に横浜精糖(現在の大日本明治製糖)や東京電気(東芝)の工場が川崎に建設されると、その後は日本鋼管、横浜造船所(ユニバーサル造船)、鈴木製薬所(味の素)、浅野セメント(太平洋セメント)など日本を代表する企業が相次いで進出した。こうした京浜工業地帯の歴史を展示資料などでわかりやすく説明しているのが川崎市市民ミュージアム。その入口には日本鋼管が業界に先駆けて導入し、1957年まで稼働した最後のトー マス転炉が展示されている。京浜工業地帯を象徴する産業遺産として、今も川崎の地にその雄姿をとどめている。

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