100年以上も前からの鋳物の町だが、国内唯一のベーゴマ製造会社・日三鋳造所が存在することでも知られている。川口でのベーゴマ製造は明治末期に鋳物職人の内職から始まったという。「仕事の合間にベーゴマを作ってバケツに入れて工場の隅っこにしまっておく。祭りの時期や年末になると日暮里や蔵前といった下町の問屋に自転車で運んで現金と引き換えに置いてくる。小遣い稼ぎだったね(笑)」(日三鋳造所・辻井俊一郎社長)。内職とはいえ製造工程は機械部品などの鋳物と同じ。原料も銑鉄や「故銑」と呼ばれる鋳物スクラップだ。粘りを出すためにコーンスターチを混ぜた特殊な砂で砂型を作り溶けた鉄を流し込む。すると炭素量約3.7%の「ねずみ鋳鉄」製ベーゴマができる。コマの軸がズレないように作るのがコツだ。ここ数年は大手玩具メーカーや全国各地の子ども会向けに引き合いも増え、2000年度に15万個だった生産量も現在では20〜30万個になった。最盛期の約100万個(1975年頃)には及ばないが「欲しがっている子がいるうちはやめられないね」(辻井社長)。 |
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鋳物の原料となる銑鉄や故銑とコークス |
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約1,300℃もの高温で溶かすため、不純物やガスが飛散し燃えて火花になる |
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