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Value One グループ広報誌
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Value One Winter 2009-2010 No.27より
 

長光寺の地蔵菩薩立像

日本全国に無数にある仏像の中でも、鉄でできた仏像は九十数体しか現存していないといわれる。その大半が関東地方と愛知県に限られており、造られた時代は鎌倉時代に集中している。

阿弥陀如来や地蔵菩薩など仏像の多くは銅や木像、続いて金銅製である。鉄仏が極端に少ない理由としては、鉄の融点(約1,530度)が銅(約1,000度)などに比べて高いので、高度な鋳造技術が必要であったことに加え、 衣文えもんなど細部の仕上げが難しいため、仏像には適さなかったことが挙げられている。もちろん、錆などの耐食性の問題もあっただろう。

愛知県の尾張地方には、関東に次ぎ、11体もの鉄仏が存在する。それは古代の製鉄技術である「たたら」の原料となる砂鉄が木曽川で豊富に取れたことにも起因する。中でも有名なのが稲沢市の長光寺にある地蔵菩薩立像(重文)。鎌倉時代中期の1235年(文歴二年)に造られ、現存する鉄仏の中では最も美しいといわれている。その鋳肌いはだ は鉄であるとは思えないほどなめらかで、800年近く前に造られたものとは信じ難いほど成形技術・保存状態とも素晴らしい。長光寺の鉄仏は別名「汗かき地蔵」とも呼ばれる。世の中に異変が起きる前に全身に汗をかいて知らせるとの伝説があり、これまでに第二次世界大戦や伊勢湾台風の前に汗をかいたとの言い伝えがある。稲沢市の隣の美和町にある法蔵寺の地蔵菩薩立像(重文)も、1230年(寛喜二年)に造られた最も古い鉄仏の一つである。ざらざらした鋳肌と荒々しい表情は長光寺の鉄仏とは対照的に独特の力強さを表している。


地蔵菩薩立像の円形の框に「文歴二年」の記述がある



地蔵菩薩立像が祀られている長光寺の六角堂(重文)



法蔵寺の地蔵菩薩立像。荒々しい表情が印象的。顔には金箔のあとが残る



鉄仏は鎌倉時代を中心に室町時代まで、つまり1200年〜1550年の間に集中して造られている。その理由の一つに「武士の鉄を崇める思いを反映したもの」というのがある。武家社会が成立した鎌倉時代に、武士の身を守る刀や甲冑かっちゅうなど鉄の力への絶対的な信仰が鉄仏を流行させたという説である。

室町時代以降、ほとんど鉄仏が造られなくなった背景として、日本で唯一、たたら製鉄を運営する日本美術刀剣保存協会の元たたら課長である鈴木卓夫氏は「室町時代後期の天文時代(1532〜1555年)、ほぼ戦国乱世がピークに達し、従前以上に大量の刀剣が求められるようになったのに伴い、たたら製鉄が『ずく押し法』から『けら押し法』へと技術革新したためではないか」、と推測する。直接、鋼を造ることのできる「ッ押し法」の技術が確立すると、鋼は銑(鋳鉄)に比べて炭素量が低すぎて鉄仏などの鋳造には適さないので、自ずと鉄仏の製作自体もすたれていったのではないか、という見方である。

なお、東日本で多く鉄仏が造られた理由としては「粗野であるが力強い鉄仏が、東国武士たちの気質に合致した」という説がある。この点に関しては、他に説得力のある論拠はない。いずれにしても、鉄仏は高い技術力を誇った日本の製鉄史の一頁を示す貴重な史料となっている。


現在の清洲城は1989年に再建されたもの


■岐阜市と名古屋市の間に位置する稲沢市周辺は戦国時代の歴史の表舞台にも度々登場する。長光寺から南に約3キロ行くと、織田信長が約十年間、居城した清洲城がある。信長はここから桶狭間の戦いへと出陣した。長光寺の境内には信長が愛飲したといわれる「臥松水」という井戸の跡が今も残っている。長光寺のすぐ隣には浅野長勝宅の址もあり、「豊臣秀吉とねねが寺の境内で逢瀬を楽しんでいたかもしれません」(長光寺の奥村素英・住職)。長光寺の鉄仏は歴史の生証人のように世の中の栄枯盛衰を見つめ続け、現在もその優しい眼差しで世界を照らし続けている。

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